詠う(短歌)

短歌:「好日」2018年9月号より

               圧力

《  焼き海苔を黙(もだ)しあじわう    人の死と引き換えのような香典返し  》

《  かなしみは身体を汚すことらしい老廃物のなみだ出てくる  》

《  すずかけの葉が動かない空梅雨のゆうべの暑さ人をあやめる  》

《  梅雨明けてあじさい尽きてゆくまでに要するか長い時間と気力  》

《  上空のヘリコプターの轟のような圧力    来てしまいたり》

《  いっぽんのボトルの水と文庫本    手放せずいつもなんとなく重い  》

・・・・・

一首を追加、一首を削除。5首目は結句を改作、ついでに題も変更した。