詠う(短歌)

短歌:2023-10「菊の黄の色」

⬆️千鳥ヶ淵の水

何ひとつ変わらぬままか八月の千鳥ヶ淵の蝉に問うなよ//

「海軍さん」伯父に供える真っ直ぐの菊の黄の色、黄に正気あり//

おかあさん!叫ぶ間も無く飛び散った或いはじわじわ沈んでいった//

爪、遺髪を受け取りにゆき渡されず「祖父様(じさま)はのたうちのたうち戻り来」//

必ずや母に死は来るそのときにうろたえぬための言の葉あれよ

「好日」2023年10月号より

「行ってくれ」と祖父の声が聞こえる気がして毎年、お盆前後から彼岸までの間に千鳥ヶ淵戦没者墓苑に行って黄色い菊を供える。伯父は写真で知るのみ。

⬆️ユリノキ