詠う(短歌)

短歌:好日2020年11月号より

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戦死した息子のことをじいさんが「海軍さん」と呼ぶのはなぜか//

じいさまは「海軍さん」の前に座し経読みいます音吐朗朗//

戦死した人たちの骨はすでに溶けて海である海そのものである//

日の沈む海に向かってじいさんはありがとうと長く合掌していた//

戦死した子のことは言葉にならなくて祖父は語りしか盂蘭盆のこと//

仰向けの蝉の自然死をあっぱれとヒト属として見下ろしている//

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2首目の原作は、《朝夕の経読むときを戦死した子とありし祖父か音吐朗朗 》です。が、騒がしい感じがして改作し、また歌の順も入れ換えました。