「2つの横隔膜」
今まで骨盤底としてしか知らなかったのに横隔膜が二つとは。
昔々しっかり読んだつもりの〈アレクサンダー・テクニーク〉についての本二冊を引っ張り出してみた。(『音楽家ならだれでも知っておきたい「呼吸」のこと』著者:バーバラ・コナブル、訳:小野ひとみ 誠信書房)
確かに「2つの横隔膜」と書いてある(p.38)。読み飛ばしていたのだ。当時は色々読んでも訳も分からず、合唱も始めたばかりで「2つの横隔膜」の言葉も身体に入り込むには至らなかったのだろう。
上半身と下半身をつなぐ大腰筋をも使った「全身呼吸」
横隔膜が二つあると書いてあるのは安田登の『疲れない体を作る「和」の身体作法』。
ふだんわれわれが言う横隔膜が「呼吸横隔膜」で、骨盤底の横隔膜が「骨盤横隔膜」または「骨盤隔膜」と呼ばれるとある。
この上下二つの横隔膜と連動するのが「大腰筋」であるとし、大腰筋を活性化させると、深い呼吸ができるようになる、深い呼吸は、いわば「全身呼吸」と言える、そしてこれは能の呼吸法と同じであるという。
読み応え大!安田登の本
さらに『荘子』の「真人(しんじん)の呼吸は踵でする」を引用、「踵」は現代の「かかと」でなく、「足裏」から「足首」までの、やや広い範囲を指すという。
「真人の呼吸」とは、足の裏からする深々たる呼吸であると解説。能楽師である安田登の本は、呼吸、身体、歌を繋げたいと必死にもがいている今の私にとって読み応え大!である。
あ~あ!消しては書き、また消して、またまた消して纏められず書き直しているうちに頭がぼんやり。呼吸を楽しんでみよう。できるかな?できるのです!かなりおかしな状態。
安田登著
『身体能力を高める「和の所作」』(ちくま文庫)
『疲れない体を作る「和」の身体作法』(祥伝社)
※『日本人の身体』(筑摩書房)もあります。なお『日本の身体』は内田樹著で安田登との対談もあります。