詠う(短歌)

短歌:2023-3「観戦」

はだかぎの冬の大公孫樹(おおいちょう)そのままのあなただろうか真っ直ぐ静か//

古里が賑やかだったころの声 山川(やまがわ)きらきら光きらきら//

古里は人まばらにて声聞かず  山川さらさら光さらさら//

いまださむき光のなかに在わします春を耕す腰曲がる祖父//

サッカーの決勝戦の観戦は残虐と表裏 座り込む敗者//

抱き合う勝者の隣 座り込み地を叩く高校生なる敗者 //

「亡くなった後に気づいたただ息をしていてくれるそれだけでいい」//

「好日」2023年3月号より




郵便局前の桜は昨日からの雨でもまだ持ち堪えている感。風がないのがせめてもの救い。