シューベルトのこの歌は、ゲーテの詩の題から来るイメージとはほど遠く静かだ。
去年買ったシューベルトの歌曲集でまず言葉に強く惹かれて聞いたら即、入り込んでしまった。
他者からの声であり、私の声でもあるかのよう、呼びかけられているようで、己に呼びかけているようでもある。
静かすぎて死の気配が漂う感じがする一方で穏やかである。受け入れた穏やかさだろうか。それとも音から来るのだろうか。
濃縮されて韻を踏む言葉と音。削ぎ落とされ普遍性を持つ言葉と音の融合に包まれる。
同じ題でD224もあるようだ。検索するとゲーテの詩では最も愛好者が多いとあったりする。ワタシはつい最近はじめて知った。
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Wandrers Nachtlied (さすらい人の夜の歌)
Über allen Gipfeln
Ist Ruh’,
In allen Wipfeln
Spürest du
Kaum einen Hauch ;
Die Vöglein schweigen im Walde .
Warte nur ! Balde
Ruhest du auch .
すべての峰に
安らぎがある。
すべての梢に
風のそよぎは
感じられない。
小鳥たちは森で静まっている。
ただ待つがいい! やがて
おまえにも安らぎがくる。
日本語訳:シューベルト歌曲選集2(教育芸術社)より