今まで白川静の本でも声を聞きながら読んでいると感じていた。あたたかく心地好いもので(今でも)、それはきっと彼が〈とてつもなく大きな人〉だから特別なのだと思っていた。
『みみずくは黄昏に飛びたつ』を読んでいて、あ、と気づく。2人の声が聞こえる。特に「訊く」ほうの声が何というか硬いボール?濃いのだろうか?密室にいて急かされる感じを受ける。
「訊く」川上未映子も、「語る」村上春樹も何時間、何日もかけた凝縮した中身であるから本のせいではないかもしれないが。
この本を読んでいるシニア館は窓も広く、人も少なく円テーブルでリラックスできる場所なのだけど、、、耳が疲れる。
耳の疲れは身体よりも精神に堪える。それで何をしたかというと、帰って他の本を出す。『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』。
これも対談本だ。さわやかな風の中で、木のそよぎを見ながら聞いているよう。内容はむしろこちらのほうが深い(単なる好き嫌いかもしれません)と思うのだけど。何が違うのだろう。とにかく風通しのよい大きな部屋にいる感じ。
だからどうのこうのではない。自分の体調や読み方の問題、単なる相性というだけのことかもしれない。しばらくこの本は脇へ置いて、「河合先生」の「しっかり両手で受け止めて」くれる声を聞こう。
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穴八幡横から大隈講堂への道
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