窓の外側 //
《 見かけなくなった九階のあの人の郵便受けが塞がれている 》//
《 ひかりよひかり水に来て水はかがやき人に来て濃淡のなき影を見さしむ//
(改) 《 ひさかたのひかりのどけく人に来て意思にあらざる影を見さしむ 》//
《 俎板の使うことなき裏側を洗うとはいのちふかき人ならむ 》//
《 霧消せる窓のそとがわもしかして滅びた国にわれはいるのか 》//
6首のうち2首を削除。2首目は旋頭歌まがいと大きく型を破って出したが、あれもこれも言い過ぎの感大いにあり。で、西行の本歌取りにした。4首目は「日本」を「国」に変えた。
4首目は、高野公彦の歌《 一人なる夕餉を終へて俎板の使はなかつた裏も洗へり 》に感動して。