変化するにちにち

〈大切なことは言葉にならない〉

箱根山の下の道はよく通っているが、去年はこの木肌には気づかなかった。葉がすべて枯れていたので樟ではない、はず? 手を当ててみる。「大切なことは言葉にならない」。

大人3人でも囲めない?ほどの大きさ、試したことはないけど。椋の木。枝のなびき具合がなんとも。下には大きな虚がある。

母はまだ一人暮らしができている。隣近所の方たちが気にかけてくださり、見守り弁当を配達してもらい、デイサービス、ヘルパーさんなどの助けを借りて成り立っている。

〈大切なことは言葉にならない〉。母が生きている。故郷に帰り、母以外の人たちとかかわることでここ数年、いい形で影響されつづけている。

感覚の幅が徐々に広がっているのでは、と思えてくる。都市に住んで、いかに鈍っていたかがわかっただけでもすごいことだ。「感覚を鈍くしないと都市では生き延びられない、身体が悲鳴をあげる」らしい。

一年に延べ2か月近く自然の中に身を置くことによって、五感が開かれつつあると実感する。現代版「参勤交代」は最高の賜り物。色々ありながら今年5年目に入る。