もうひとこと:
漱石の書斎が再現してある。昭和20年の空襲で建物は焼失したとあるが、書棚の本は、東北大学へ避難していたものの背表紙をコピーして、できるかぎり当時に近づけたとのこと。畳(板の間かもしれない)の半分近くは直に積まれた本で埋まっていて、すっきり片づいた書斎というより、少々ごった返している感もして、「人」が現れそうである。それらの書に囲まれて文机がより小さく見える。
本の匂い! 突然、ふんわり来た本の匂い。漱石がそこに座っている、ときがあったのだと実感できる、生身の漱石。『硝子戸の中』の六は、「私はその女に前後四五回会った」で始まる。「その女」もこの部屋に座ったのだろうか、火鉢もある。
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