尻無(しりなし)には今まで二回は行ったのだろうか、風景より人しか覚えていない。今回歩いてみて、海の見える「鄙」というのが印象。
風景にくっきりとして人があるのではなく溶け込む。まさに内田樹氏の言葉どおり。人間の輪郭がぼんやりして風景との境界線が曖昧、ということが頷ける。
〈フルサトハコンナニウツクシカッタノカ〉
あっちもこっちも撮りたくなってしまう景色。撮っては眺め、また眺めて…走り、眺めて撮っては、また走り。スカート履いているけど草はらに入ってでも撮りたい、「ダニにかんちがるっど」(ダニに噛まれるよ)と誰かが言う。
この風景、似ている…。30年前のスコットランド最北端、ジョンオグローツに重なる。光、海の色がそのまま同じ。道が海に絶たれるような風景、静寂がそのまま。
川内方面の海が見える。同窓生はもうずーっと先のほうに小さく風景と化す。いいねぇ。
泣けてきそう。地元の人たちは何という豊かな時・〈時光〉をくれたのだろう。豊饒。
地元といえば地元だけど、地区が違い、通学路が違えばまったく地理感なし。歩いてみてはじめて垣間見る尻無。
写真を数えたら百枚以上撮っていた。しかも人間を撮ったのは4,5枚で風景ばかり。いちまいいちまい考えて迷って削って削って40枚ほどにした。書きながら感無量…。
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