変化するにちにち

「ペコロスの陽だまりの時間」あれこれ(4)

東京に帰ってきて初めての『ペコロスの陽だまりの時間』(東京新聞朝刊)を見る。

「母の入っていた施設にアキヲおじさんが入所した」で始まり、アキヲおじさんは、「おー、ハゲ頭くん」と迎えて、「おー!ようハゲてぇ」と直球を投げてくれる。(註:アキヲおじさん→父サトルの弟)

甥であるペコロスに、「ところでアナタはどちらさんでしたかね?」と聞き返し、10年ほど前に亡くなった「アニキさん」のことも、「アニキさんにも、ずいぶん長(なご)う会(お)うとらん」、「アニキさんにも、もうずいぶん長(なご)う会(お)うとらん」と繰り返す頭でも、施設の人には、「よーしてくれなる(良くして下さる)けんね」と感じているアキヲさん、いとおしい存在だ。

作者が母「みつえさん」の死に慣れてきた感じを受ける。
初めのころは一体どこへ行こうとしているのかと、心配、がっくり、落ち着かなかったが、それはそのまま作者の内面でもあり、私自身の 「みつえさん」不在に対する落ち着きのなさでもあったに違いない。

「みつえさん」の毒舌とまではいかないにしても、何かを摑みつつある作者に対し、読むも者の期待もまた膨らみつつある。文、絵の微妙なニュアンスや体温を受け取りながら、今週何回めだろう、じっくり眺めている。