変化するにちにち

「除夜作」2首

除夜作(除夜の作)    高適(こうせき/701?ー765)

旅館寒燈獨不眠
客心何事転凄然
故鄕今夜思千里
霜鬢明朝又一年

旅の宿。さむざむとした燈火。
わたしは独り眠らずにいる。
旅の身のわたしの心には、どうしたことか、そぞろにかなしみがつのってくる。
故郷では今夜、家の者が、千里もはなれたところにいるわたしのことを思っているであろう。
霜のように白くなった鬢。明日の朝になればわたしはまた一つ歳をとる。(駒田信二選「漢詩百選」より)

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除夜作    王堙(おういん/堙の土偏は言偏ですが字を探せません/生卒わからず)

今歳今宵尽
明年明日催
寒随一夜去
春逐五更来
気色空中改
容顔暗裏回
風光人不覚
已著後園梅

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人は風光に覚(きづ)かないけど
後園(うらにわ)の梅は已に(花を)著(つ)けている。

「除夜の作には悲しみの詩が多い。その中で、この詩、おのれの容貌の衰えを自覚しつつも、自然のいとなみのうちに、希望を見る。『五更』は、夜明けに近い時刻。一夜明ければ、新春である。」(一海知義「漢詩一日一首」より)(同本には737年の進士とあります。進士とは科挙に合格した者を言うようです。)

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春と言われても、梅と言われても今の正月と季節感が合わない。しかし中国でのお正月は今も旧暦で祝う。春節という名からして季節を体感できて羨ましく思う。

細川護煕氏の『中国   詩心を旅する』を2週間前に借りた。今までの漢詩の本には見られなかった言葉の世界があった。遠い世界ではなく生身の詩人を感じられる。ぜんたいが静謐。言葉が人そのものの感、清流のようである。この本によって漢詩への興味が膨張し、図書館から7,8冊借りてしまった。

「除夜の作」というものに出会った。なんとか今年中にアップしようと、消化不良の文字の羅列になってしまいました、、、。。。