詠う(短歌)

短歌:薩摩焼の里・美山〈沈壽官窯〉

***薩摩焼の里   美山〈沈壽官窯〉***

『故郷忘じがたく候』くりかえし読みし先入観なら捨てよ

四十年前の美山の記憶あり孟宗竹に囲まれし異国

捕らわれし身を恥じその名捨て去りて幼名当吉を名乗りしという
(初代・沈当吉)

黒薩摩の急須ににじむ緋色あり語り得がたく四百年か
「好日」2017年9月号より

二十代前半に美山に、母と弟と三人で行ったと勘違いしていた、兄弟全員だったようだ。今年3月にひとりで、いもうとと6月にも行き、念願の玉山神社まで茶畑のなかを歩いた。なぜこうも惹かれるのだろう。

司馬遼太郎の『故郷忘じがたく候』では、神社から見える海の向こうの韓国に思いを馳せながら、「オノリソ」を歌う(踊るところもあった?)ところがあり感動的だ。

20年前?朗読しようと思い立ち、頁を削って削って、、、さらに削って15分で読めるように無謀をやったことが懐かしい。今は恐ろしくてできない。

思いだけが溢れて何十首と憑かれたように書いたが、うわべだけの殴り書きに近い。推敲してもしてもできない。当然かもしれない。詠もうとすることさえ失礼なことのように思えたりする。僅かではあるが日本人としてうしろめたさもある。明るい光のなかに居てさえ、土地に染み込んだ何か重いものを感じる。