詠う(短歌)

短歌:2023-4「春麗」

母と私の味噌汁の味噌を溶いていた2019年冬がきらきら//

生きものとしてゆるやかに衰えて母はにこにこ死へ向かいます//

一身を挺し生きかた死にかたをにこにこ見せているような母//

喜びは母の身体に残るだろう「正月にまた帰って来ます」//

ゆるびそめいのち生えそむ春うらら死あり再生あり春うらら//

生きもののようなぬめりをもつ春に父、祖父の順に呼ばれていった//

「好日」2023年4月号より

改行、改作しております

⬆️雨の森の径