詠う(短歌)

短歌:11首選ぶということ

原稿をいつもどおり速達で送った。今月はもう一つある、11首選。作品1(同人)の中から11首選ぶのだ。これが思いのほか大変。自分の歌は見えないのに(から)、人の歌はあれこれ言いたくなる。独自の言葉をどこまで発見できるか、だろうか。いつもいい歌を詠んでいる人もある。

誕生日がやってくる12月、今月は嬉しかった。好日12月号「私の好きな歌」で選んでもらった1首の批評の言葉。読み取って欲しい気持ちを、それ以上でも以下でもなく汲み取ってくださったこと、そこまで理解していただけるのかと嬉しかった。

《八月の光に混じる祖父の声    戦死した伯父の名が降りそそぐ》
(好日10月号より)

8月は特別の月だ。戦後生まれだけど8月15日の正午のサイレンと沈黙の重苦しさを毎年、18歳で故郷を離れるときまで体験した。写真だけの戦死者でしかなかった伯父が、祖父や母の話を通して、血肉を持つ生きていた人に変わっていった気がする。思いだけが渦巻くようにあって、まだまだ詠みきれていない。

東京新聞夕刊「この道」に早乙女勝元氏が戦時中、戦後の体験を掲載中だ。