詠う(短歌)

短歌:好日2024-5「海を帰ろう」

海を帰ろう//

九州の風はもう春 川沿いの寺まで歩くみちくさ楽し//

すこやかな義叔母(おば)に出会える嬉しさの勝りぬ 叔父の二十五回忌//

じいさんに死が来て叔父が言ったこと そんなに泣くな望んだとおりだ//

はるばると来てまだ遠し 目の前に仕切り置かれて母と語れず//

テーブルの長き仕切りとマイクあり ずうっと遠くの母を見ている//

介護士の隙見てマスク取るわれの顔わかるらし母合掌す//

掌(て)を合わす母に出会えた もうこれで いいこれでいい海を帰ろう//

「好日」2024年5月号より(空欄を増やしてあります)