詠う(短歌)

短歌:『好日選集14』より

《2020年のマスク》

俎板の使うことなき裏側を洗うとはいのちふかき人ならむ// (高野公彦先生)

2020年マスクをつけて砂のような煙のような息吐いている//

この春を死無型(しんがた)虚露亡憂医流水(コロナウイルス)と書きて「自粛」を私より消す//

信号を待ちただじっと立つだけの時間は卑屈マスクを外す//

さまざまの形のマスク生まれるはまだ「生きたい」という意思表示//

八月の日差しに混じる祖父の声 戦死した伯父の名が降りそそぐ//

やすらかに眠ってはいない遺髪なし爪なし戦没者万骨の一つ//

八月の千鳥ヶ淵の献花台に若き菊菊菊  整列す//

傷ついてしまった核を隠さない痛みかがやく女(おみな)よ真珠/ (伊藤詩織さんへ)

いつの日も目覚めてあれよ足裏の湧泉というちいさな窪み//

さくらさくら一日眺めて夕暮れて身よりはなびら色の息出(い)ず//


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今年4月に届いたまま、上げていませんでした。伊藤詩織さんを詠んだ歌は上句を動かしました。まだまだ動くのですが・・・