短歌:好日2021年9月号より
異郷だろうか// 『故郷忘じがたく候』碑(いしぶみ)のある陶苑の清む風を聞く// ふるさとの海辺に立ちている夢にまぶしく光る砂さざれなみ// ふるさとの海辺だろうか波の穂の眩しすぎるは異郷だろうか// すでにして死語… もっと読む 短歌:好日2021年9月号より
異郷だろうか// 『故郷忘じがたく候』碑(いしぶみ)のある陶苑の清む風を聞く// ふるさとの海辺に立ちている夢にまぶしく光る砂さざれなみ// ふるさとの海辺だろうか波の穂の眩しすぎるは異郷だろうか// すでにして死語… もっと読む 短歌:好日2021年9月号より
「夕べの想い」// 大いなる生命(いのち)の中にある「時間」母に会えないことをうべなう// 「忘じがたき」壽官陶苑の器にて飲む朝の水よき朝の水// 陽炎の橋渡りくる夏衣(なつごろも)「女童(めわらべ)」連れた中野先生//… もっと読む 短歌:「好日」2021年8月号より
かわいいですか// 夕暮れの影なす光、ふるさとの海の夕つ日、無礙光如来(むげこうにょらい)// 飾り窓にじっと動かぬ子猫ちゃんかわいいですかかわいそうですか// しもじものニッポンジン我ガンバッテ笑う笑ってここを乗り切る… もっと読む 短歌:「好日」2021年7月号より
《2020年のマスク》 俎板の使うことなき裏側を洗うとはいのちふかき人ならむ// (高野公彦先生) 2020年マスクをつけて砂のような煙のような息吐いている// この春を死無型(しんがた)虚露亡憂医流水(コロナウイルス)… もっと読む 短歌:『好日選集14』より
光ふるふる// つわぶきの筍の生えるふるさとは異郷まぼろし都市より見放(みさ)く// 石橋の上で見上げたあのときの花は咲いてるでしょうね, かあさん// 天降る光のなかで会いたいよ、母に会いたい、「ひかり」が走る// … もっと読む 短歌:好日2021年6月号より
自粛禍// 自粛下の地上に薄きひさかたのひかり見上げて命断ちしか// この時期に自死した人の原因はコロナ禍でなく自粛禍だろう// 閉ざされて自粛というは風船に似ている針で刺そう 出かける// 面会のできぬ理由を理解し… もっと読む 短歌:好日2021年5月号より
自粛禍// 「 生きていく以外が生きていくために必要 」寺の掲示板語る// 「 静粛にいま皆さんは粛々と補償なきまま自粛する時 」// 「 会場の皆さんどうか粛清に! 失言でした静粛にです 」// 自らを粛(つつし)… もっと読む 短歌:好日2021年4月号より
《 はみ出す色 》 // とりあえずここで一旦立ち止まり毒出すように息吐いてみる // 世の中がコロナ一色になる時をはみ出す色の美しからむ // 明日もしも「感染者数」が増えたなら文庫本は家に置いて出かける // 新しい… もっと読む 短歌:好日2021年3月号より
《故郷》// 「故郷とは思い出である」声ふかき姜尚中氏一人を生かしき// 2020年帰れぬ心ふるさとと呼ばず故郷(こきょう)の思いがなじむ// はつか澱む身を浄化するものとして朝あたら… もっと読む 短歌:「好日」2021年2月号より
淡青(たんじょう)// 夢に見る背の羽出(い)だし海に沿い水平飛行す母のもとまで// 両手もてまず片足をゆっくりと撫でつつ今日の身を目覚めさす// 内臓まで秋刀魚を食らう君の腑でプラスチックが舞っているかも//… もっと読む 短歌:好日2021年1月号より