変化するにちにち, 歌う

マーラー作詞作曲「恋人の二つの青い瞳が」

この題に、〈あーもったいない〉と感じてしまう。この歌の魅力の90%以上は後半にあるとつよくつよく思うからだ。

言葉だけだとハッピーエンドに見えるが、曲が絶妙だ。意識が静かに遠ざかっていくような感じを受ける。

それが死へ向かって遠ざかるのではなく、安らぎのなかで、ぽつねんと在る自己を俯瞰しているような状態であろうか。

これはもうマーラー自身の体感だ。素人のこわいもの知らずで言えば、、体感なしにはこの言葉と音の重なりは生まれないと感じる。

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*歌詞の日本語は、声楽家 テノール歌手の山升信明氏の訳です。

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「恋人の二つの青い瞳が」

恋人の二つの青い瞳が
ぼくを広い世界むけて 追い出した
だから一番好きな場所に別れを告げなければならない
おお青い瞳よ なぜぼくを見つめたりしたのだ
おかげで 永遠の痛みと悲しみを もつことになった

ぼくは 静かな夜に 出発した
暗い荒野を通って
だれも私に さようならを言わなかった
さようなら! 私の道連れは 愛と苦しみ

道に 一本の菩提樹が立っている
私は そこで 初めて眠り 憩うことができた
その菩提樹の陰で…
樹は私の上に 花びらの雪をふらせた
そのときぼくは 人生の仕打ちを忘れた
すべては すべては ふたたび良いものとなった
すべては すべては 愛も 苦しみも
世界も 夢も

(グスタフ・マーラー、対訳:山枡信明)

Die zwei blauen Augen von meinem Schatz

Die zwei blauen Augen von meinem Schatz,
Die haben mich in die weite Welt geschickt.
Da mußt ich Abschied nehmen vom allerliebsten Platz!
O Augen blau, warum habt ihr mich angeblickt?
Nun hab’ ich ewig Leid und Grämen.

Ich bin ausgegangen in stiller Nacht
Wohl über die dunkle Heide.
Hat mir niemand Ade gesagt.
Ade! Mein Gesell’ war Lieb’ und Leide!

Auf der Straße steht ein Lindenbaum,
Da hab’ ich zum ersten Mal im Schlaf geruht!
Unter dem Lindenbaum, 
Der hat seine Blüten über mich geschneit,
Da wußt’ ich nicht, wie das Leben tut,
War alles, alles wieder gut!
Alles! Alles, Lieb und Leid
Und Welt und Traum!

(Gustav Mahler)

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⬇️車窓より見える多摩川。

⬇️これは何?と答えを求めず想像せよ、ということ?見ても見ても見れば見るほど疑問符ばかりが増える。それが狙いか?