変化するにちにち

「存在の背骨のようなもの」ムラカミハルキ『雑文集』より

「僕らの人生とは、記憶の積み重ねによって成り立っている。そうですよね? もし記憶がなかったら、僕らには今現在の僕らしか、頼るべきものがない。記憶があればこそ、僕らは自己というものをなんとかひとつに束ね、アイデンティファイし、存在の背骨のようなものを———たとえそれがひとつの仮説に過ぎないにせよ———とりあえず設定することができる。(172頁)

(———部は途切れのない一本の棒線です)

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仕事はしていないので月曜日も金曜日もたいして変わらないのだけど、月曜日というのはなにか特別で得体の知れぬ凹みが来たりする。

雨の前触れのような曇り空だから(降りだしてしまった)、または村上春樹の『雑文集』を昨夜から読んだからかもしれない。

うんうん、そうそう、そう思う、しだいに入り込んで(つまみ食いのように進んだが)、いつも以上に人生とはなんぞやの世界にまで来て考え込んだ。

それでもじんわりとした心地よさがある。それはムラカミハルキという人の「温かい文」のなせる業に違いない。

「今現在」にもっともふさわしい、一区切りつくような言葉のプレゼントだ。

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午後からプレコンがあるのだけど、『雑文集』のおかげで思いがけず穏やかな時間をいただいた。