詠う(短歌)

短歌:「好日」2021年2月号より

   《故郷》//

「故郷とは思い出である」声ふかき姜尚中氏一人を生かしき//

2020年帰れぬ心ふるさとと呼ばず故郷(こきょう)の思いがなじむ//

はつか澱む身を浄化するものとして朝あたらしき一杯の水//

葬りのための帰国をあきらめて十方世界に阿爸(ちち)の声聞く//

葬りの儀式というを生み出したヒト属の心(しん)に思いいたれり//

明日朝も目覚めるように淡青(たんじょう))の水を思いて眠りにつかむ//

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30年ほど前だろうか、母との関係でアイデンティティ喪失状態に近かった時に、姜尚中氏の言葉が新聞に載った。生き返った心地がした。