詠う(短歌)

短歌:好日2020年4月号より

《エール》//

肩甲骨を左右に開き緩めおく 羽がいつ生えてきてもいいように//

今日一つ「恋人つなぎ」の語彙増えて心現れた手ばかりを見つ//

オレンジは斜めに切るのこうしてね切り口がほらはなびらになる//(故山本雅子の声)

流れくる沈丁花の香ふかくふかく吸いこんだ息に生(あ)れよ言の葉//

仙骨にひったり付いて重く今日あると思えり臍下丹田(せいかたんでん)//

脊柱のひとつは苦痛を核とする真珠であるよ輝いてあれ//(伊藤詩織さんへ)

〈屈辱〉の核としてあらむ苦しみのしずくかがやく詩織よ真珠//

・・・・・

題をエールとしたのは伊藤詩織氏に捧げたいと思う2首を出したから。しかしいちばん思い入れのあった歌は没になって載ったのは1首のみ。無理もない。改作しても(最後の歌)、あれこれまだ自分に言いたいが彼女にエールを送りたい一心で・・・。。。