変化するにちにち, 白川静先生の漢字の世界

樂(がく)

書きたい!という衝動がきてはじめて書いてみた、樂という字。

「木の周りにデンデン太鼓のようなふり太鼓のふり撥をつけると樂になる。真ん中の白は人の頭蓋骨。『樂』というのは『存在しない存在』を依り憑かせる方法なんです」(『変調「日本の古典」講義』、112頁)。

殷(商)の時代には、「心」という文字はまだできていないのだという。「こころ」がないということは、アイデンティティというものがなく、あらゆるものに「変容可能」ということとある。

「『心』がない時代の『樂』ですから、完全に『存在しないもの』と一体化し得る『樂』なのです」。いかなるものにも変容できます。そんなすごい樂を殷は持っていました」(113頁)。

「樂」という字。消しては書きしながら白川静先生のことが思われ、身体にびりびり来るものを感じ、訳の分からないなかで出来あがる。。

意味を身に留めて書く、書きながら音を想像する、骸骨が見える、不思議なほど集中して書いた「樂」。しかし字によっては怖いかもしれない。