歌う

レッスンの日(8)曲と身体がなじむ

「身体の記憶」を信じる、いい言葉だ。「曲とからだが馴染む」、曲に無理に身体を合わせようとせず段階を踏んで、馴染んだと感じたところで次に進むということだろうか。先生はいつも大切な言葉をくださる。

夜はこれから「カルミナ・ブラーナ」、そして先週からラヴェルの「ダフニスとクロエ」が始まった。さすがバレエ音楽、解放されるようで気持ちがいい。

この「ダフニスとクロエ」は指揮者バッティストーニのたっての希望で、合唱付きということになったらしい。このような縁もあるのだ。そうでなければ一生、歌う機会のない曲だったかもしれない。

水曜日の夕方、珍しく夕食の準備に追われることもなく「クリスマス・オラトリオ」の楽譜に日本語訳を書き込んでいる。きちんと勉強はしていないが、昔からドイツ語の深い音が好きで語学講座をよく聞いた。ラテン語よりも理解しやすい。

朝のレッスンから夕方までゆったりとした静かな時間、これを豊饒と言わずして何と言おう。