詠う(短歌)

異教徒としての歌(1985年)

     《  英国に異教徒として十二月の孤独ほど〈うつくしいものはなかった〉》
好日 2007年?月号より
「プラタナスの葉よ……」「あの木陰ほど快いものはなかった」の「オンブラマイフ」の歌詞が、英国にいた当時の身体感覚と一瞬につながって上の歌が生まれた。

日本のお正月のように、家族で集まるクリスマス。地元の人たちはカードを部屋に吊り下げたり、暖炉のマントルピースに飾ったりして何週間も前からクリスマスを楽しんでいるように見えた。

クリスチャンではない自分の孤独も暖炉の火も静かで美しかった。子と二人、絶望感混じる12月、それでもチェスターではカナール(運河?)が凍る寒さのなかに清澄な空気があった。

英国では一首も作らなかった。短歌をはじめ日本の一切、人も文字も拒絶したい気持の中にいた。

今だからわかる、日本ですべてに頑張りすぎて壊れる寸前だったのだ。石のようであったわたしから、イギリスで180度転換したと感じられた。

固定ページに載せただけのこの一首をお読みくださりありがとうございます。タップしてくださっても歌以外は何も書いていないので、振り返って、頑張って?書くことにしました。