「ペコロスの母に会いに行く」, 変化するにちにち

「続・ペコロスの母に…」(13)その眼差し

先週が休みだったのでこの日を待っていた。みつえさんが8コマすべてに登場、毎週こうであったらいいのに!

猫、あまめ、ズボン
「母が施設に入所して間もない頃は」「晴れた日は防波堤まで散歩していた」ではじまり。

みつえさんが故郷である天草を見ているうちに父母を思い出し「ととん、かかん」(父さん、母さんの註あり)と呟くところで終わる。

これだけである。いや実際は書ききれないほどの思いが溢れ出ています。

ずれ落ちそうなみつえさんのズボンをしっかり握って支えているペコロスの心もあります。握ったところがちゃんと?吊りあがっていてペコロスもニヤリとして(たぶん)いるのが分かり、笑わせてくれます。

さすがです。あまめ(ふなむし、ゴキブリの註あり)、猫も登場。猫もあまめも意志を持って動いている。生きとし生けるものへの眼差し。1コマ1コマじっくり味わえます。

「ととん、かかん」
単行本でも、わがふるさと阿久根と似ている言葉が多かったが、「あまめ」には驚いた。同じだ。「ととん、かかん」も母は「とと、かか」と呼んでいた。

実家のある地域は市内の他と違って、地元ではちょっと恥ずかしくなるほど濁音がプラスされる。実際は「とど、かが」である。

何かにつけて亡くなった身内を思い出すのだろうか、母も読経のあと「とど、かが、おおきに!」とほぼ毎回言うようになった。

この「ペコロスの…」を知って少しは母を遠くから、いとおしい存在として見られるようになった(実際はそうでない時のほうがずっとずっと多いけど…)。

「続・ペコロスの母に会いに行く」2015年1月12日(月曜日)東京新聞朝刊より