変化するにちにち

おれんじ鉄道に乗って

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12月9日(火曜日)「ママちゃん」の家・店
3月に病院に寝泊まり介護しているとき殆ど毎日通った家、いや正確に言えば店。一見しただけではそれと分からない。勇気を出して初めて行った時、「いらっしゃいませ」ならぬ「どうぞ上がってくんやん(ください)」だった。化学調味料は一切使わないと言う「ママちゃん」(店の名でもある)の言葉を痛感したのは東京に帰ってからの食事時、サラダにかけた市販のドレッシングが口にべっとりして強い違和感を覚えた。それまでも使っていたものだけど、ひと月「ママちゃん」の料理を食べ続けて舌が正常に戻っていたのだ。今日はその店に突然の訪問。
とくべつの料理
母を送り出して駅まで自転車、海沿いを走るおれんじ鉄道で阿久根駅まで。駅から1分すれば海、海沿いを歩いて店まで。ランチは相変わらずセンスの良い器にどれもこれも手づくり、肉は苦手だがロールキャベツのおいしいこと。最後のひと匙までスープもいただく。自家焙煎珈琲、デザート付きで800円也。コーヒーをお代わりしてしまう。1時間に1本しかない電車のために2時間ほどしか居れなかったが豊かなひととき。3月よりも距離感がぐっと近づいた感じで、帰るまでにもう一度来ると約束して引きあげる。

鳶を眺める
駅に置いた自転車を取りに行くと鍵が緩んでいて危ない。近くの自転車屋さんへ。「いたずらですね」と。このような所でもいたずらはある、のだ。その場で直して下さる。待つ間に故郷の風景を改めて見渡す。空を見上げる。いた!鳶が舞っている。鳴き声は聞こえないが低く飛んでいた。もし『ペコロスの母に会いに行く』を読まなければ鳶もその鳴き声も気づかずにいたに違いない。「気づかなかった」を知ることが増えていくような出会いがこれからもあるだろう。

サドルは高く颯爽と、とはいかないが
自転車はサドルをギリギリまで高くして乗るのが好きだ。東京では高くしすぎて下りるのが面倒になり足を着いて止まろうとして届かず何回か転倒、人にも2回ぶつかり乗るのをやめた。ここ、ふるさとでは駅まで下り坂でブレーキをかけずに乗る、このスピード感は最高!山に沿って川、田んぼ、畑の脇を走る。坂道なので高くしないと帰りは引いて歩くことになる。今日は強い向かい風、自転車屋さんにもっと高く上げられないか聞いたが「もうそれ以上は無理です」と笑われた。帰り道に一度下りてしまった。