変化するにちにち, 歌う

一歌友へ!手紙のような一首批評

○一匹の蚊にも眠らぬ小心者われは原発再稼働反対
西村 考史 (好日9月号より)

お元気ですか?こういう歌は好きです。「蚊にも眠らぬ」は体感、身体能力です。動物的直感を感じます。体感力以上の説得力というものがあるでしょうか。「小心者」だから、戦争で死ぬのは怖いから「反対」と言うのはどのような大義名分より勇気があり信用できます。そして男性にこそ、このように詠ってほしいものです。今の、不安の覆いかぶさるこの時期に、自分の立ち位置を表白するという事は大切なことと思います。〈眠れぬ〉ではなくて「眠らぬ」に強い意味がありそうな気がするのですが、今一つ掴めません。来年の大会の折りにでも答えていただければ嬉しいです。「肥沃とか偉大というに縁のなきわれにてあれど前立腺肥大す」には思索、死生観が見えます。じたばたせず、笑い飛ばしてみせる生き方に強く共感します。
ではでは。

2013年11月号「好日」誌に掲載後にアップしたものです
お読みくださってありがとうございます